双子の妊娠は一般的にリスクが高いとされているため、出生前診断を検討している妊婦さんが多いようです。
双子でも、NIPT検査を受けることができます。
ここでは、双子の出生前診断の現状や費用について解説します。
NIPT検査は、妊婦さんの血液からお腹の中の赤ちゃんの健康状態を調べる検査です。
染色体異常の中でも頻度の高い「21番染色体トリソミー」「18番染色体トリソミー」「13番染色体トリソミー」をはじめ、施設によっては、性染色体の数の異常や4種類の微小欠失症候群、全常染色体全領域部分欠失疾患などを調べることが可能です。
NIPT検査は、基本的に双子でも受けることは可能です。
ただし、検査できるのは双子まで。
三人以上の多胎の場合はNIPT検査を受けられません。
双子でも、施設によっては対応外の場合があるので注意が必要です。
検査精度については、単胎でも双子でも変わりません。
陽性的中率は、21トリソミー(ダウン症)で97.3%、18トリソミーで88.0%、13トリソミーでは54.3%。
陰性的中率は99.9%です。
また、NIPTを受けて「陰性」の検査結果だった場合、99.9%の的中率です。
ただし、出生前診断の一つであるクアトロ検査(母体血清マーカー検査)の場合は、的中率が大きく低下する可能性があります。
注意したいのは、双子の場合、性別について正しい結果が出ない可能性があるということ。
二人とも女児の場合はX染色体だけなので判断できますが、Y染色体が存在する場合は、2人とも男児なのか1人だけ男児なのか判断することができません。
また、そもそもクリニックで性染色体の検査を行っていない場合があります。
バニシングツインとは、双子の赤ちゃんのうち一人がうまく育たず、消失してしまう事象です。
実際に消えてなくなるわけではなく、子宮に吸収されることで消えたように見えています。
起こる確率は、双子を妊娠した方のうち10~15%程度。
時期としては、妊娠6~8週目ごろに起こりやすいとされています。
バニシングツインでも、NIPT検査を受けることは可能です。
ただし、擬陽性や偽陰性などが起こりやすいということは注意しておきましょう。
これは、消えたように見える胎児のDNAが、妊婦さんの血液の中に混じっているからです。
何も知らずに検査をしてしまうと、間違った判断をしかねないため、しっかりと説明を受けることが大切です。
双子のNIPT検査といえど、妊婦さんの血液だけで検査できるため、料金は1人分と同じとしているクリニックが多いようです。
ただし、基本料金+αとしているところや、2人分の料金を設定しているところもあります。
また、NIPT検査は1人分の料金でも、羊水検査や絨毛検査を行う場合は追加料金が必要なところ、双胎の確定検査を実施していない施設もあるので確認が必要です。
双子のNIPT検査で陽性判定が出た場合、双子どちらも陽性なのか、片方だけなのか、あるいはどちらの赤ちゃんに染色体異常の可能性が高いのか、といったことまでは分かりません。
万が一、2人の赤ちゃんのうち1人だけが染色体異常だったとして、1人だけを人工中絶することは簡単ではありません。
擬陽性の可能性もあるため、より一層判断が難しいのが現実です。
非常にデリケートな問題なので、検査をする場合は、遺伝カウンセリングや、陽性の場合のサポート体制がしっかり整っているクリニックを選びましょう。
産婦人科やクリニックの医師・臨床遺伝専門医制度委員会の専門医、そしてご家族と、納得できる答えを出せるクリニックがおすすめです。